プロジェクトストーリー


廃液のリサイクル再販による

新しいビジネススキームの開発


販売担当

販売本部 販売一部 課長

お客様から使用済み薬液の

廃棄処理コスト低減を相談される。

ある大手半導体メーカーのお客様から「使用済み廃液を産業廃棄物として処理をしているため、処理費用を払わないといけない。何かコスト削減の方法は無いだろうか?」と相談を受けました。これに対し私は、半導体の製造工程で使われる薬液は純度が非常に高いので、使用後の廃液でも半導体業界以外なら利用できるかも知れない、と考えました。ただ、新たなビジネスになる可能性はあるものの、当社には使用済みの薬液の不純物を除いて精製する設備も、利用する企業の要望に合わせて適切な濃度に調節する設備もノウハウもありません。だから、当社で引き取って処理を行い、再販売先を探すのは大きなリスクがありました。それならどうすればいいか?ここからがスタートでした。

業界のネットワークを活用し、

処理工場や販売先を探す。

当社のような化学品業界では、他の商社はライバルであると同時に、情報の交換や共同で販売を行う仲間でもあります。そこで私は、使用済みの薬液を精製し、濃度調整をしてくれるパートナーを探してくれないか?と知り合いの商社に声をかけることにしました。すると、ある商社の営業からやってくれる企業がある、という回答を得たのです。そこで、私はその加工メーカーに行き、詳細を説明した結果、契約を結ぶことができました。しかし、処理するパートナーを見つければすべて解決…という単純な話ではありません。半導体メーカーからどれくらいの使用済み薬液が出て、どのタイミングで引き取るか、また運ぶ運送会社の手配をどうするか、濃度の調整メーカーの受入体制をどうするか…。いろいろとハンドリングを考える必要がありました。半導体は生産量が大きく変動する商品のため、使用済み薬液が常に一定量出てくるわけではありません。予定より多く出た場合はどうするか、少ない場合はどうするかの対策を立て、そうした変動も考慮に入れた契約にする必要がありました。


関係する企業全てにメリットがある

ビジネススキームを構築できた。

最も重要なのは、精製・濃度調整をした使用済み薬液の販売先を探すことでしたが、幸いなことに、愛知県には繊維業が多く、繊維に色を付ける染織過程で大量のアルカリ性の廃液が出るため、この廃液を中和する薬液を必要としていました。これが、この使用済み薬液の用途にはピッタリだったのです。こうして、使用済み薬液を再販売し、再利用するプロジェクトが始まりました。これは、お客様にとっては処理費用を削減でき、パートナー企業も売上を増やし、再生した回収薬液を利用する会社も安く調達できると、すべての関係者にとってWin-Win-Winとなるビジネススキームになりました。当社にしても、回収薬液を安く仕入れて販売できるので、メリットが大きいビジネスです。また、廃棄物を再利用することは、SDGsの観点からも、地球環境保全に繋がります。こうしたスキームを実現できたのも、当社のネットワークと長年の信頼関係があったからだと感じています。

扱う商品を拡大。

再利用ビジネスは今後も広がっていく。

実はこの後、この再販売ネットワークはさらにビジネスの広がりを生み出しました。半導体製造で使用される、他の化学品のリサイクルにも横展開したのです。現在は、使用済みのその他の薬液も同様にリサイクル商品として、取り扱っています。お客様の要望をしっかり受け止め、化学品専門商社としての経験とネットワークを駆使し、知恵を絞ることで生まれたこのビジネス。自分で考えて、新しいビジネスを生み出すことができる、当社らしい好事例ではないでしょうか。これからも新しいビジネスが、まだまだ生まれる可能性がありそうです。